多摩市民「九条の会」

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zoom RSS 自律は遠く ―夕張市の「財政破綻」から考える― 後編

<<   作成日時 : 2007/02/26 10:06   >>

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前回に引き続いて、夕張市の財政破綻についての話。前回引用した財政学者の保母武彦氏の記事には、件の財政破綻に関して、国や道の財政政策にも責任があることが指摘されていた。そして実はもうひとつ重要な話が出ていた。財政再建と同時に、北海道の高橋はるみ知事が「夕張を『地域再生のモデルケース』にする」という趣旨の発言をしていたことに関してである。国や道が自分達にも責任の少なくない一端がある破綻の責任を市に押し付け、その上で最低限の住民サービスまでも切り詰めたが故に、「半年で約四百人もの市外流出が」起きたのが現状である。つまり国や道が自分たちの責任を回避したために、必要最低限の行政サービスまでもが切り捨てられ、地域社会が打撃を受けたのである。自ら選んで打撃を「与えて」おきながら、これから地域社会を再生しようとぬけぬけと述べること自体、大きな欺瞞ではあるまいか?

こういうことを考えていて、前回述べた「寄付」ということから、まったく別の例を思い起こした。「合併しない宣言」を出して有名になった福島県矢祭町のことである。合併しないというのはつまり、「三位一体の改革」において地方自治を進めるというタテマエの中で総務省が推進した(補助金まみれ?との声もある)「平成の市町村合併」を拒否したということである。地方自治を進めるための制度を、地方とのたいした衝突もないままに中央政府がお膳立てして地方に実施してもらうという発想自体、多くの地方自治体に自律する(=地方自治の基本!)精神が欠けているという事であろう。矢祭にはその精神があったわけだ。もちろん市町村それぞれによって置かれている状況は異なるので、矢祭の真似がどこでも出来るわけではない。が、夕張の破綻とその後の国による「フォロー」の演出を見てもまだ、中央政府の方針から距離を取る動きは目立たない。

「寄付」の話に戻るが、矢祭町は町立図書館を開設するにあたり、費用をカットするため全国に余っている本の寄付をつのった。そして1月11日現在で、29万冊を超える本が集まったという(矢祭町ホームページ参照)。本や図書館という重要なサービスのためには是非費用をつけてほしいと個人的には思うが、今日はそれを措いておいて、矢祭の知名度と寄付の呼びかけは、夕張と異なり「攻め」の姿勢の中で生まれたものに他ならない。自分たちの街をどう作っていくのか、という自主的なイメージに基づいて行なわれているのだ。ゆえに地域は力を持つ。(この場合も、「二匹目のドジョウ」を狙うのが難しいのは同じだが)

重ねて言うが、比較的小規模な自治体である矢祭の真似をどこででも出来るわけではないことはわかっている。例えば我が多摩市では、何度か取り上げていることだが、多摩ニュータウンの存在により、嫌でもUR(都市再生機構)という巨大な独立行政法人の存在に制約される部分が大きい。それだけ自律の条件は悪い。それは例えば、近い条件を持つ他の自治体と協力するといったことを考えなければ解決出来ない問題が多いことを意味する。だが、そうした努力がどれだけなされ、その上で市民に説明されているのかということを考えると、この問題にそれなりに注目している一市民(筆者)にすら知られていないのであるから、説明不足の感は免れない。

それぞれの自治体にそれぞれベストの「自律」の方途があるはずであり、その上でそれをどこまで本気に取り組んでいるのか、それがもっと問われるべき時なのだ。そういえば多摩市でも4月に市議会議員選挙がある。ニュースで候補者選びが騒がれている東京都知事選挙も同じく4月である。「自律」のためにはせめて市議会や市役所の動きに常々眼を注ぎ、ズサンな動きをしていないかチェックしておくのが市民の最低限の義務だろう。市民が自律せずしてその自治体が自律できるわけはない。古くて新しい問題がここに出てきている。一方で、「財政的な自律」をかけ声にしわ寄せを市町村という弱いレベルへおしつけ、市民の生活を直撃する論理が罷り通る。この現状は実は、責任の一端を担うべき都道府県や国の「モラルハザード」の隠れ蓑となってしまう状況であり、そこに一層厳しいチェックの眼を光らせる必要があるのではないか。お説教臭くなってしまったが、都知事選や市議会議員選挙を控えて、一市民としての自省を籠めて。

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