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help RSS ヴァンダナ・シヴァからTPP批判を考える(上) : 『TPP反対の大義』(農文協)について

<<   作成日時 : 2011/02/05 03:54   >>

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菅首相が降ってわいたように突然TPP(Trans Pacific Partnership:環太平洋経済連携協定)への参加(を前提とした)検討を、昨年秋に打ち出した。各地で広範な市民の反対運動が起きており、それは決して農村に限らない広がりを持っている。ところが、マスメディアはこぞってTPPの必要性を論じている。「客観性」「中立性」を標榜するため形式的にわずかばかりの反対論者が出ることはある。だが基本的には「第三の開国」(菅首相)や前原外相(注)による、「(GDP)1.5%を守るために98.5%を犠牲にして良いのか?」という論理で、農民を既得権益に守られている存在として非難し、それを打破することがよいというイメージを作り出そうという政権の線にマスメディアも乗っているのだ。

(注)前原氏は「リアリスト」(現実主義者、特に外交においての)を自認しているが、私が見るには尖閣問題での対応など、彼は外交問題において「現実的」(リアリスティック)な裏付けのないままにタカ派的発言を繰り返すという、日本の右派に見られがちな、リアリズムから最も遠くにいる空想的ナショナリストである。ちなみに他方日本の右派では、軍事に詳しいが(言ってみれば軍事オタクであるが)、現実的な裏付けをつくるために軍備拡張やあまつさえ核軍備などを論じる一方で、そのもたらす外交的な悪影響などに無頓着な論者も多い。前原氏に戻ると、今現実の裏付けのない「空想的ナショナリスト」と書いたが、今回の彼の農民への侮蔑的な発言は、彼が日本の大多数の保守政治家の例にもれず、やはりアメリカへの追従に熱心になるあまり、本人ナショナリストと思い込んでいながら、自分が本当のナショナリストとかけ離れていることに気がつかないことを示している。日本の国土と郷土をわずかばかりの農民がどれだけ守っているかに無知なのである。もっとも、こうした形であまりTPP反対がナショナリズムと結びつくことは私としては嫌だが。本論が提起するのはナショナリズムには収まらない広い射程でのTPP反対である。ただしその本格的な主旨は次回の記事にて展開する

私たちが毎日のように食べているコメを作っている日本の農家たちを道徳的に避難するかのごとき論調は、説得ではなく言葉の暴力であって、論者自身の品性を疑わせる。こうして農民を悪者にしてたたき、TPPをポジティヴなものとして提示しつつ、結局はアメリカの利益(アメリカ農業、とりわけ巨大なアグリビジネス)に奉仕するという構図は、何のことはない、小泉の郵政改革の反復でしかない。郵政民営化がわたしたちの生活を良くしたと感じている人はどれだけいるのだろうか?同じアメリカへの奉仕であるからには、この問題は言うまでもなく、自民党が政権に就いたところで全くひっくりかえらない。いくら自民党が伝統的に農村、ことに組織化された農民団体と結びついてきたからと言え、彼らの権力の淵源が民主党以上に財界とアメリカ政府との癒着にある以上、それは明確である。つまり現状の自民・民主二大政党制の枠内では、まずもってTPPを国会レベルで止めることはできない。日本の農業が各種補助金漬けであるといっても、TPP参加前で既に世界一低い日本の農産物関税の中で、アメリカ、EUの高い補助金漬けの作物との競争圧力にさらされている以上、補助金抜きでやる方が土台無理である。しかし、そうした現状のWTO体制における農業貿易のゆがみをキチンと世論が理解するまでには、相当な時間を要するであろう。

しかし6月までにTPP参加か否かを結論付けると菅首相が述べている以上は、現在のメディア状況では世論への浸透など間に合わない。そもそもTPPのように日本社会のあり方を根底から変えかねない議題を、昨年秋に突然表明し、国政レベルでの選挙もないのに1年かけずに決めるという設定自体、TPPの実態がばれたらその政策の(そして政権の)正当性が危ういことを菅は理解しているのではないかと勘繰りたくなる。狭義の農政にとどまらず多岐にわたる議論が必要なまでに大きなインパクトを日本社会にもたらす政策なのである。

なんだかタイトルから全くかけ離れた方向へと話が進んでしまった。TPPがなぜひどい政策であるのかは、筆者としては何らかの形で(おそらく、ブログでの発信に時間をかけられない私としては残念ながらこのブログで詳しく展開する暇はないとおもうが)取り組み、表明したいと思っている。が、さしあたりTPPへのすぐれた、多面的な、比較的読みやすい批判が、農文協編『TPP反対の大義』(農文協ブックレット、税込840円)である。この本から読み取れる、TPPが掘り崩す日本の「国益」を大雑把に挙げてみよう。食糧自給率大幅低下(14%まで下がるというのが農水省の試算)。アメリカへの食糧依存の進行、ひいては食糧安全保障の危機。そしてそれによる一層の、中国に対するアメリカ主導の自由貿易ブロックの強化(だから肝心の巨大市場である中国はTPPに参加する動きは全くない。なのに日本政府は焦っているのは滑稽である)、その結果日本独自の安全保障を今以上に困難にしていく。水田の持つ多面的環境機能を失うことで、日本の国土が壊滅的な打撃を受ける。それを土木技術で賄おうとすれば、製造業の「躍進」で得られるはずのGDPはふっとぶだろう。日本列島の多くで2000年以上かけて着々と築かれてきた稲作による文化・風土の最終的壊滅。農村の経済的打撃はもちろんのこと、中小の製造業までが大きなダメージを受ける、、、などなど切りがない。もちろん上記の本を読んでもらうのが早い。

しかしながら、この本はコンパクトでありつつ様々な論者、数えてみると26名が多角的にTPPを論じているにもかかわらず、言及されていない極めて重要な論点がある。それは本書が暗黙のうちに「国益」を守ることを強く打ち出しているがゆえに、本来「国益」論者であろうがあるまいが共有できるはずの重要な、TPPの破壊的側面を、落としているのではないかと思う。注で触れた「ナショナリズムには収まらない広い射程でのTPP反対」とはこれに関わるのだが、つまり問題は、TPPによって最も利益を得るであろうアグリビジネス(農業に関わる巨大資本)が、グローバル経済およびグローバルな環境問題において及ぼしている壊滅的な役割なのである。

表題にあげたヴァンダナ・シヴァはインドのエコロジストであり、アグリビジネスのグローバルな暴力を鋭く批判し続けている。彼女の著書『食糧テロリズム』(明石書店、2006年:原著Vandana Shiva Stolen Harvest: The Hijacking of Global Food Supply. 2000)を読むと、米国の力を背景にしてアグリビジネスが自分たちに有利に作り上げてきた「自由貿易」(という名の強制的貿易)が、いかに人間の生活と地球環境をむしばんでいるかが、極めてよく分かるのである。以下、次回に続く。

続きはこちら。
http://tama9-jo.at.webry.info/201102/article_2.html

参考 「自由貿易」の問題については、その推進役としてのWTOの持つ問題点という角度から既に触れている。こちらの本も参考になる。

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2011/02/17 20:24

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内 容 ニックネーム/日時
最初の開国は明治維新である。二番目の開国は戦後である。三番目の開国はこれからである。


考え方にはいろいろある。自分たちの考え方が理に合わないものであることを証明するのは難しいことである。だが、それが証明できなければ、おかしな考え方を改めることも難しい。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812
noga
2011/02/05 22:32

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